金刀比羅神社
2019年7月訪問
金刀比羅神社(ことひらじんじゃ)は大阪府富田林市大字嬉(うれし)にある神社です。富田林市と河内長野市の境界付近の石川右岸(東岸)の段丘上にある神社ですが、その鎮座地はかつて楠木氏の城があった金胎寺山の麓でもあります。金刀比羅神社(富田林市) |
静かで落ち着いた嬉集落内の少し北には「嬉の腰神さん」と呼ばれる大楠公(楠木正成)ゆかりの腰神神社があり、少し足を伸ばせば西野々古墳群などの群集墳、楠妣庵観音寺や滝谷不動尊(瀧谷不動明王寺)、観心寺といった寺院もあることから、歴史スポットや神社仏閣めぐりに最適の地域ともいえます。
歴史と概要
嬉の金刀比羅神社には、由緒記や説明板などが見当たらなかったので創建年は不祥ですが、金刀比羅神社ということで御祭神は大物主命と思われます。金刀比羅(琴平)神社といえば金比羅さん(こんぴらさん)と呼ばれ、有名な香川県仲多度郡琴平町にある金刀比羅宮を総本宮として全国に600社ほどあるとされますが、単独の神社としては南河内では珍しく、こちらが最大規模のようです。「こんぴらさん」は江戸時代頃から水運、海上交通の守り神として信仰されており、現代でも船員や漁師など海事関係者の崇敬を集めています。石川から東に僅か50mほどしか離れていない土地に当社が鎮座しているのも何か関係があるのかもしれません。
由緒についても詳細不明です。鎮座地である嬉地区は旧河内国錦部郡(にしごりぐん)嬉村にあたり、現在の富田林市南部に位置します。北隣の横山地区(旧横山村)と嬉地区の氏神は、もともと横山鹽の宮(しおのみや)にあった菅原神社(嬉横山天神、汐ノ宮神社(天満宮)などとも)だったようで、こちらは明治時代に伏見堂(旧伏見堂村)の伏見堂神社と共に彼方(おちかた)の春日神社に合祀されています。
金刀比羅神社の額 |
なお、こちらの金刀比羅神社は神社本庁加盟神社で大阪府神社庁のホームページにも記載されており、神職の方もおられた神社のようです(今回は不在のようでした)。一方で、石川対岸の汐ノ宮駅近くにある河内長野市の千代田神社(菅原神社)のフェイスブックでは、千代田神社の神職の方が金刀比羅神社も兼務されている記述がありました。
追記:ネット上の情報では、「富田林百景+」さんのサイトに、現大阪府大阪市中央区難波千日前にあった金刀比羅神社を第二次世界大戦後にこの地に移転したため地元とは馴染みが少ない、とあり、「山車・だんじり悉皆調査」さんのサイトには、石川を挟んで対岸の現河内長野市汐の宮町が地車(だんじり)廃絶の際に備品を金刀比羅神社に納めた、との記述がありました。
祭礼
現在、秋の地車(だんじり)祭りでは、嬉地区のだんじりは前述の春日神社に宮入するようです。境内
河内長野駅のすぐ東側には石川が北へと流れていますが、当社はその石川の東側の川沿いに位置しています。鳥居をくぐると神社への坂 |
河内長野駅付近から石川沿いに下流へ向かうには、左岸(西側)には国道170号(旧道)などがありますが、右岸(東側)にはほとんど広い道はありません。金刀比羅神社のある嬉地区は石川右岸にあり、川と生活道路の間に当社は鎮座しています。
鳥居と社号標 |
嬉集落は、金胎寺山麓の河岸段丘上の道路沿いを中心に形成されています。通常は集落より高い場所に神社(鎮守社)があるパターンが多いと思われますが、こちらの金刀比羅神社は一段低くなった場所にあります。
坂の上から見た境内 |
道路から舗装された30mほどの坂道を下ると、境内の広場が見えて来ます。
社務所 |
境内の南側には住居兼社務所のような建物があり、御守りなども授与していただけるような貼り紙がありましたが、人の気配はありませんでした。
境内の様子 |
境内はほぼ南北に約70m、東西に20~30mほどで、社殿は南南西を向いています。
手水鉢 |
北側の社殿に向かって右手の坂の下に手水鉢と思われる石がありましたが、本来の用途では使われていない様でした。
拝殿 |
社殿は重厚感のある権現造?で、あまり古さは感じられませんでした。
東側から見た社殿 |
社殿の側面からは、拝殿から本殿へ続く立派な屋根などを見ることが出来ます。
本殿裏の石碑 |
本殿の右後方にはひっそりと歌碑?があります。
西側の境内社 |
また、拝殿に向かって左手(西側)には「皇太子殿下御成婚記念植樹」の碑と、境内社の祠があります。
奥の境内社への参道 |
拝殿の左手には境内社への参道があり、朱色の鳥居と白い石の鳥居が見えます。
末廣稲荷大神 |
「狛狐」の奥には境内社の末廣稲荷大神があります。
白長大神 |
稲荷社のさらに左奥には白く塗られた「白長の大神」のお社があります。こちらもやはり水辺ということで蛇(龍)が祀られているようです。
アクセス
南海高野線、近鉄長野線「河内長野」駅からは北東の諸越橋を渡って「プラザ阪下」前を左に入り、800mほど進むと左手に金刀比羅神社の鳥居と社号標が見えます。そこから700mほど北上すると右手に腰神神社があります。河内長野駅東口からは約1kmです。
近鉄長野線「汐ノ宮」駅からは、東へ進み石川に架かる千代田橋を渡ります。(駅から約450m東の)突き当りを右折し、1.1kmほど南に進むと右手に金刀比羅神社の社号標と鳥居が見えます。
坂を下った境内に駐車出来そうなスペースがありますが、駐車場に関する案内は見当たりませんでした。神社前の道路はあまり広くないので、車の場合は北の「汐ノ宮」駅前から行く方が若干走りやすいと思われます。
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