板茂神社(富田林市) ・だんじり祭りもある板持地区の神社

板茂神社

2017年10月訪問
板茂神社(いたもじんじゃ)は大阪府富田林市西板持にある神社です。大阪府神社本庁のホームページによると、地域の名をとって板持神社(いたもちじんじゃ)という通称名もあるようです。

板茂神社(富田林市)
板茂神社(富田林市)

近年、富田林の観光名所として知名度がアップしている寺内町(じないまち)から石川を挟んで対岸にある板持地区の、普段は静かな古い街並みの中にある神社です。


歴史と概要

板茂神社の創建年は不祥です。江戸時代まで鎮座地周辺は河内国錦部郡板持村と呼ばれており、当社は古くから板持字尾ノ上に鎮座していたようです。錦部郡板持村は現在の西板持町で板茂神社を、石川郡東板持村は現在の東板持町などで板持厳島神社を産土神としていました。

明治になり近代社格制度で村社に列しましたが、明治40年(1907年)に隣接する南河内郡千早赤阪村の建水分神社(たけみくまりじんじゃ)に合祀され、その後は廃社となりました。

しかし、第二次世界大戦後の昭和25年(1950年)5月、旧社地である現在の場所に遷座し、再び祀ったそうです。

●板持地区についてはこちら →【南河内探訪】板持地区(富田林市) ・「おちょやん」のモデルとなった浪花千恵子ゆかりの地

板茂神社(富田林市)
北隣は幼稚園(休園中)

現在の御祭神は、天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、天水分神(あめのみくまりのかみ)、罔象女神(みつはのめのかみ)、国水分神(くにのみくまりのかみ)、瀬織津媛神(瀬織津姫・せおりつひめ)で、その御神徳は子宝・安産、五穀豊穣、地域安全で、特に子宝の神様として有名だそうです。

しかし、これらの御祭神は建水分神社と同じなので復社時に勧請されたのかもしれません。一方で大正時代の資料には別の御祭神が記されているようで、建水分神社に合祀される前はそちらに記載されている素盞鳴命、大己貴命、応神天皇、安閑天皇が祀られていたのかもしれません。
 

境内

古くからの住宅地の中にある当社は西向きに鎮座し南北(幅)約30m、東西(奥行)約50m程の敷地となっています。西面は道路に面していますが、普段は南寄りの鳥居の部分だけが出入りできるようで、拝殿正面に当たる門扉は祭礼の時などに開けられるようです。

板茂神社(富田林市)
手水舎

まず最初にあるのが南西隅の手水舎です。

板茂神社(富田林市)
鳥居と参道。社名碑には「式内」と刻まれています。

手水舎の前には「式内 板茂神社」と刻まれた社名標が建ち、手水舎と社号標の間から石畳の参道が延びており、少し先に石造りの鳥居があります。鳥居をくぐると東側にある拝殿への参道が続きます。

板茂神社(富田林市)
両側に木が植えられた参道

参道脇は並木となっていますが、所々に新しい石碑に混じって旧社地で使われていたと思しき手水鉢や石灯篭、鳥居の柱の一部のような石造物が配されています。

板茂神社(富田林市)
拝殿

折れ曲がった石畳の先には狛犬と石灯篭が並び、その先に拝殿があります。

板茂神社(富田林市)
拝殿

拝殿などは平成13年(2001年)に大修理されています。

板茂神社(富田林市)
拝殿の屋根瓦

拝殿の屋根瓦には、楠木正成や建水分神社でお馴染みの菊水紋と、八坂神社を始め様々な神社で神紋となっている左三つ巴紋が見えます。

板茂神社(富田林市)
拝殿から見た本殿

拝殿の中からは、奥の本殿を見ることが出来ます。

板茂神社(富田林市)
拝殿奥の本殿

拝殿奥に本殿がありますが、石の壁と鉄の柵によって厳重に囲まれていて外側からはあまり見えません。

板茂神社(富田林市)
春駒大明神

拝殿正面は広場となっていますが、拝殿に向かって左側(北)に境内社の春駒大明神がありますが、こちらは「正一位」とあることから稲荷社のようです。

板茂神社(富田林市)
北側に並ぶ灯篭など

さらにその左、富田林市立板持幼稚園に面する北側には燈篭などが並んでいます。

板茂神社(富田林市)
移設された常夜燈

そのうちの一つはどこかから移転されて来た常夜燈で、かなり貴重なもののようです。

板茂神社(富田林市)
文政12年の灯篭

瓦屋根付きの覆屋の中に納められた石灯篭には「文政十二年(1829年)」と彫られているように見えます。

板茂神社(富田林市)
丸い石が祀られた小さな祠

春駒大明神の奥(北東隅)には小さな祠があり、中には(外にも)丸い石がたくさん祀られていました。これがいわゆる「賽(さい)の神さん」でしょうか。

祭礼

毎年10月の第3金・土・日は南河内でおなじみの地車(だんじり)が出る秋祭りが盛大に執り行われます。

板茂神社(富田林市)
本殿右(南)側の休憩スペースなど

なお、同じ板持でも西板持町はこちらの板茂神社、隣の東板持町は前述の建水分神社に宮入りします(かつては西板持も建水分神社に宮入していたとか)。また、東隣の山中田町のだんじりは当社から700mほど東にある大伴黒主神社に宮入りします。

アクセス

近鉄長野線「富田林」駅から金剛バスで「西板持(旧西板持幼稚園前)」バス停下車。東(石川と逆方向)へ約160m行くと富田林市立板持幼稚園(2017年現在休園中?)があるのでその右隣りが板茂神社です。

徒歩では「富田林」駅の南口を出て左折。りそな銀行富田林支店前の「本町」交差点を右折し府道33号線を石川の方へ向かい金剛大橋を渡り、「川向」交差点を右折します。「西板持(旧西板持幼稚園前)」バス停のある交差点を左に入り約160m先少し右にあります。

板茂神社(富田林市)
社頭の紀元二千六百(昭和15年・1940年)年記念碑

駐車場は無さそうですが念のためバイク、自転車などのために他の経路を書いておくと、富田林市の国道309号線「板持南」交差点を、大阪市内、外環状線方面からは左折、奈良、河南町方面からは右折します。700m少々進むと上記の「西板持幼稚園前」バス停の交差点ですので右折ししばらく行くと神社が見えます。

500mほど南には板持十三重塔や厳島神社があります。

Itamo Shrine(Tondabayashi City,Osaka Prefecture)


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