金山古墳(南河内郡河南町) ・国の史跡に指定されている全国的に珍しい双円墳

金山古墳

2014年11月訪問(2020年8月追記)
金山古墳(かなやまこふん)は大阪府南河内郡河南町芹生谷(せりゅうたに)にある古墳です。円墳を二つ連ねた形の全国的にも珍しい双円墳で、国の史跡に指定されています。一般的に日本の古墳としてイメージされるのはお馴染みの前方後円墳かと思われますが、こちらの古墳は前方後円墳の“方”の部分も“円”になっています。

金山古墳(南河内郡河南町)
金山古墳(南河内郡河南町)

二つの円に大小がありますので上から見た形で瓢型双円墳ともいわれ、雪だるまのようにも見える当古墳は、現在公園として整備され河南町でも人気の歴史スポットとなっています。



歴史と概要

金山古墳には発掘調査時の説明や写真が記載された大きな説明板と色褪せた古い説明板などがあります。それらによると、金山古墳が築造された時期は出土した土器や石室、石棺の形から6世紀末から7世紀初頭と考えられていて、これはちょうど前方後円墳が造られなくなった時期だそうです。

金山古墳(南河内郡河南町)
写真付きの説明板

大きい方の南丘は直径55.4m、高さ9.4mで3段に、小さい方の北丘は直径38.6m、高さ6.8mで2段になっており、全長は85.8mとなっています。

金山古墳(南河内郡河南町)
古い説明板

周囲には周濠が巡らされていてこれも含めると全長は104mとなります。墳丘の頂上、いわゆる墳頂部の平坦部と各段の間の部分には敷石が敷かれていました。

金山古墳(南河内郡河南町)
自由に登れる墳丘

北丘には長さ約10mの横穴式石室があり凝灰岩をくりぬいて造られた家型石棺が二つあり、これの実物大模型が大阪府立近つ飛鳥博物館に展示されています。昭和21年(1946年)に大阪府が、平成5年(1993年)に河南町が発掘調査を行いましたが石室や石棺の中はすでに盗掘にあっており耳輪、ガラス玉、鉄刀、馬具、土器の破片などが出土しただけです。

金山古墳(南河内郡河南町)
南丘からみた“くびれ”部分

南丘にも石室が確認されていますが、こちらはまだ調査されていません。


金山古墳は大変珍しい双円墳として知られていますが、北北東約5kmの距離にある太子町山田には方墳が連なる双方墳とよばれる二子塚古墳があり、こちらも国史跡に指定されています。

なお、金山古墳の少し北にあるスーパーの敷地内(駐車場)には金山古墳より前に造られた石塚古墳群があります。

●河南町ホームページ 金山古墳 →http://www.town.kanan.osaka.jp/kananchotte/kankogaido/rekishibunka/1394613980774.html

金山古墳公園

国道309号のバイパスからもその姿が綺麗に確認できる現在の金山古墳は公園として整備され、河南町内の主力観光スポットにもなっています。

金山古墳(南河内郡河南町)
修復された墳丘と周濠(2020年6月)

平成3年(1991年)に国の史跡に指定されましたが、かつて濠は水田になっており、墳丘には民家が建っていました。これらは平成7年(1995年)に「史跡金山古墳公園」として整備されるときに撤去されました。

金山古墳(南河内郡河南町)
柵の隙間から見える石室

前述のように、北丘には横穴式石室があって、中には凝灰岩をくりぬいて造られた家型石棺も保存されています。

金山古墳(南河内郡河南町)
ライトアップされた石棺(2020年7月)

石室などには危険防止のため柵が設けられていますが、ライトアップされているので石室内の石棺を間近に見ることができます。

金山古墳(南河内郡河南町)
大阪平野を望む

古墳の復元にあたって敷石・葺石部分はリュウノヒゲ、斜面の土の部分は芝で再現されました。現在、石室は柵で立ち入り禁止になっていますが、それ以外の墳丘部分などは自由に登ったりできますので歴史を感じるだけでなく、散歩や憩いの場としても利用されています。晴れた日には金剛・葛城山麓にあるこの古墳から大阪平野を一望できます。

金山古墳(南河内郡河南町)
東屋などの公園設備

駐車場も完備しているので、近くにある建水分神社楠公誕生地をはじめとした千早赤阪村の楠木正成関連史跡や河南町の弘川寺、少し北にある近つ飛鳥風土記の丘や近つ飛鳥博物館などと一緒に車で回ってみるのも良いかもしれません。付近の古墳関連スポットとしては石塚古墳群寛弘寺古墳公園があります。

アクセス

金山古墳には無料の駐車場があるので車でも行きやすいです。大阪市内方面からは国道309号を南下。道の駅かなんの次の「神山南」交差点を直進しスーパーセンターオークワ河南店を左に見てその先の「金山」交差点を左折。府道27号線に入ります。80mほど進むと左手に駐車場入口があります(道路上の古墳の大きな案内板は徒歩用の小道なのでご注意ください。手前にある小さな駐車場の看板が目印)。

金山古墳(南河内郡河南町)
新しい案内図(2018年3月)

奈良県側からは国道309号を大阪方面に走り、グロワールゴルフ倶楽部の先の水分バス停のある分岐を右に進みます。次に1kmほど先の「金山」交差点を右折し府道27号線に入ると約80m先の左側に駐車場入口が見えます。
 
公共交通機関では近鉄長野線「富田林」駅南ロータリーから金剛バスの河内(白木)線寺田経由(東)水分行きに乗車し、「芹生谷」バス停で下車。バス進行方向に徒歩3分で右手に古墳が見えます。

また、河南町内の移動はコミュニティバスの「カナちゃんバス(南部)」も便利です。

●河南町ホームページ カナちゃんバス・やまなみタクシーのご案内

Kanayama Tumulus(kofun)(Kanan Town,Osaka Prefecture)

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