黒姫山古墳・みはら歴史博物館(堺市美原区) ・百舌鳥古墳群と古市古墳群の中間にある古墳

黒姫山古墳

2017年7月訪問
黒姫山古墳(くろひめやまこふん)は大阪府堺市美原区黒山にある前方後円墳で国の史跡に指定されています。国道309号線と府道36号線の交わる下黒山交差点のすぐ北側にあるこの古墳は道路からでも見え、古墳内部には立ち入れないものの周辺は「史跡黒姫山古墳歴史の広場」として遊歩道などが整備されています。

黒姫山古墳(堺市美原区)
国史跡・黒姫山古墳

また、黒姫山古墳の300mほど北東には堺市立みはら歴史博物館が建てられ、同古墳からの出土品などが展示されており、市街地のすぐ近くにありながら身近に古墳を感じられるエリアとなっています。

黒姫山古墳(堺市美原区)
黒姫山古墳の案内板



歴史と古墳概要

黒姫山古墳が築造されたのは5世紀中ごろと見られ、当時この周辺を勢力圏としていた豪族の丹比(たじひ)連によって築造されたと考えられています。ちなみに、古墳から東南東に約500m行くと丹比連と関わりの深い丹比神社(たんぴじんじゃ)があり、さらにその直線上には後の丹比氏の氏寺とされる丹比廃寺跡があります。また、500mほど北西には広国(廣國)神社があります。



黒姫山古墳(堺市美原区)
埴輪の列を再現(後ろの高架は阪和自動車道)

地理的には西に堺市の百舌鳥(もず)古墳群、東に羽曳野市・藤井寺市にまたがる古市(ふるいち)古墳群という2つの大規模古墳群があり、そのちょうど中間に位置しています。最も近い大型古墳は3kmほど北北東にある河内大塚山古墳です。

※令和元年(2019年)7月6日午後に、百舌鳥・古市古墳群の世界文化遺産登録が決定しました。

黒姫山古墳(堺市美原区)
埴輪の列の中央には竪穴石室も復元

黒姫山古墳の概要としては、前方部を西に向けた前方後円墳で全長114m、後円部の直径が64m、高さ11m、前方部の幅は65m、高さ11.6mとなっています。古墳は2段に築成されており北側くびれ部に造り出しがあります。

黒姫山古墳(堺市美原区)
石室復元模型の案内板

黒姫山古墳の発掘調査は戦後間もない昭和21年(1946年)に前方部中央から竪穴式石室が検出されたことから、終戦直後の物資の乏しい中でありながら昭和22年(1947年)12月から末永雅雄氏、森浩一氏らにより行われました。

後円部の埋葬施設は盗掘により破壊されていましたが、前方部中央から堅穴式石室が発見されました。この石室は砂岩の天井石8枚で覆われ、底には川原石が敷き詰められており、大きさは内法長さ4メートル、幅約0.8メートル、高さ約1メートル余りでした。この中からは24領の甲冑をはじめ、大量の鉄製武具や武器が出土し、全国的に注目されるようになりました。

黒姫山古墳(堺市美原区)
古墳周辺はガイダンス施設や遊歩道も整備されています。

また、墳丘の周囲には幅約15m、深さ約2mの濠をめぐらし、その外側には平坦部の古墳としては珍しい幅約5メートルの周庭帯(しゅうていたい)があることが発掘調査によってわかっています。

黒姫山古墳(堺市美原区)
濠の周りのガマの穂

さらに、造り出しや前方部の斜面などの発掘で、他の古墳にもみられるように戦国時代には砦として利用され、防御力を大きくする為さらに盛り土して斜面を急にし、段を高くしていることなどが判明しました。

黒姫山古墳(堺市美原区)
木々の間から埴輪などが見えます。

黒姫山古墳周辺には少なくとも6基の陪塚と思われる小型の古墳があったようですが、現在は削平されその姿はありません。その一つである「さば山古墳」は阪和自動車道などの建設に伴う発掘調査により、全長28mの周濠を有した帆立貝式古墳で、黒姫山古墳よりやや後に築造されたことが明らかになっています。
昭和32年(1957年)、黒姫山古墳のもつ重要性から国の史跡に指定され(昭和53年(1978年)、周庭帯部分を追加指定)、平成元年(1989年)からは、国と府の補助を受けて、環境整備が実施されました。

黒姫山古墳(堺市美原区)
古墳周辺についての説明

堺市立みはら歴史博物館(M・Cみはら)

黒姫山古墳から歩いて5分ほどの距離にある、堺市立みはら歴史博物館は愛称を「M・Cみはら」と言い、平成15年(2003年)3月30日に旧美原町立みはら歴史博物館として開館しました。愛称のM・Cみはらは、Museum(博物館)とCommunity(交流)をイメージしたものだそうです。

堺市立みはら歴史博物館(M・Cみはら)
堺市立みはら歴史博物館(M・Cみはら)

みはら歴史博物館のグランドコンセプトは「カタチ造りの達人」で、この辺りが発祥とされる「河内鋳物師(かわちいもじ・金属鋳造の技術者およびその集団)」と「黒姫山古墳」をメインテーマとした常設展示室、およびミニ展・特別展が開催できる特別展示室、講演会・音楽会・映画会等の催しや、研修会・レセプション等の催しなど、文化・芸術にふれ、交流できるホールとの複合施設となっています。

堺市立みはら歴史博物館(M・Cみはら)
喫茶店も併設され、右の方にも更に駐車場があります。

展示室の入館可能時間は午前9時30分から午後4時30分で、基本的に年末年始と月曜定休日となっています。料金は常設展(ミニ展):200円、特別展:500円、企画展:300円。その他催し物など詳しくはホームページをご確認ください。

堺市立みはら歴史博物館(M・Cみはら)
河内鋳物師にちなんだモニュメント

アクセス

みはら歴史博物館(M・Cみはら)への公共交通機関での行き方は、近鉄南大阪線河内松原駅から近鉄バス余部(あまべ)行きで「大保(だいほ)」下車徒歩すぐ。南海高野線初芝駅から南海バス美原区役所()行き「下黒山西」下車徒歩600m(古墳の側を通ります)。南海高野線北野田駅から南海バスまたは近鉄バス・多治井(たじい)方面行き「黒姫山古墳前」下車徒歩すぐです。

車で行く場合の一例としては、国道309号線が阪和道の下をくぐる「下黒山」交差点を目指します。大阪市内方面からは左折、富田林方面からは右折。泉北方面から府道36号線(阪和道の下の道)を来た場合はそのまま直進します。阪和道の下を進み、3つ目の信号を左に曲がるとすぐ右に博物館の駐車場入口があります。
みはら歴史博物館(M・Cみはら)のホームページのアクセス案内が非常に分かりやすくなっています。

●堺市立みはら歴史博物館(M・Cみはら) 利用案内・アクセス →http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/mcmihara/annai/annai.html

黒姫山古墳へは、みはら歴史博物館を出て阪和道の下の道を右に300mほど歩くと右側に入口があります。

●堺市ホームページ 黒姫山古墳 →http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/rekishi/bunkazai/bunkazai/shokai/bunya/shiseki/kurohimeyama.html

Kurohimeyama Tumulus/Mihara Museum of History(Mihara Ward,Sakai City,Osaka Prefecture)

にほんブログ村 歴史ブログ 史跡・神社仏閣へ

コメント