太平塚古墳
2019年5月訪問
「太平塚古墳(たいへいづかこふん)」は大阪府南河内郡太子町にある古墳です。太子町北部の羽曳野市との境付近の山腹に石室が残るこの古墳は、線路の下にある古墳として、高速道路の下の古墳である「赤面山古墳(藤井寺市)」と同様に印象に残る古墳です。太平塚古墳(南河内郡太子町) |
この地は、二上山北側の穴虫峠を越えて難波(大阪)と飛鳥(奈良)を結ぶ「大坂道」と呼ばれた重要な街道が古墳のすぐそばを通りますが、南には竹内街道、北には長尾街道もあった大和国と河内国の境にほど近い要衝ともいえる場所です。
概要
太平塚古墳は、太子町北部のブドウ畑やミカン畑の広がる山の中腹を走る近鉄南大阪線の線路の真下に石室が開口している状態で残っています。墳丘は改変を受けて全壊状態ですが、もともとは径約30mの円墳、もしくは方墳であったと考えられています。両袖式横穴式石室は良好に残っており、南に向けて開口しています。石室長は約6.9m(玄室長4.5m、幅2.4m)、高さ約2mを測ります。
埋葬者は不明で、副葬品も確認されていませんが、同じ太子町内に「大阪磯長陵」がある孝徳天皇の真陵とする説もあるそうです(日本書紀に孝徳天皇を「大坂磯長陵」に葬ったと記されており、太平塚古墳の側を大坂道が通っているため)。
古墳の現状
地図で見ると、太平塚古墳周辺は現在も近鉄南大阪線、南阪奈道路(国道165号)、国道166号、府道703号香芝太子線、南河内グリーンロードという重要な交通路が集中しています(ちなみに、南阪奈道路の美原JCTー羽曳野ICの区間も平成30年(2018年)4月1日以降国道165号に編入されました)。近鉄線と並行する道 |
上ノ太子駅からの場合、古墳へは基本的に二上山駅(奈良県)方面へほぼ線路沿いを進むことになります。
古墳を連想させる石 |
太平塚古墳が近づくと、左上に線路、右下に住宅を見ながらコンクリート舗装の道を歩くことになります。
立入禁止の柵とロープ |
一旦、道が線路から離れそうになってすぐにまた線路寄りになった付近の線路の下にぽかんと空いた穴があります。
現地には「太平塚古墳」の看板も説明板もありません。
訪問時はロープが張られ「CAUTION あぶない 立入禁止 KEEP OUT」の看板が付いていましたが、少し前までは中に入れる古墳でした。
草むらの奥に見える石室 |
草が生い茂る中に石室の開口部が見えます。
立派な天井石 |
立入禁止なのでロープの外からの見学ですが、床面には土砂が堆積しているような感じでした。
石室内部 |
現在の開口部は、本来の石室の入口ではなく、羨道の天井石が無くなった部分から中が見えているそうで、開口部の手前には石室閉塞石の様な石が積まれているそうです。
妙見寺門前の「青山開墾紀念碑」 |
ちなみに、失われた天井石は、大平塚古墳から南に500m少々離れた妙見寺の前にある開墾記念碑として利用されているとの情報も。
太子ヶ丘住宅の塚の前公園 |
太平塚古墳南側の太子ヶ丘住宅の中の公園は「塚の前公園」でしたが、この名称は太平塚古墳に由来するのでしょうか。
アクセス
近鉄南大阪線「上ノ太子」駅から東へ進んだ線路の南側ですが、徒歩で行く場合は駅の北口から出て国道166号(竹内街道)を右へ進み、踏切手前の左手にある細い道に入り「上の太子観光みかん園」への道を歩くと途中にあります。このコースで約1kmです。上ノ太子駅への道(右後方が古墳方面) |
車道では、府道703号が南河内グリーンロードの下をくぐる地点から100m弱大阪寄り(西)から線路への脇道に入り、踏切手前を左に曲がると70mほど先に古墳がありますが、踏切前は道が狭く、専用駐車場もないので結局駅付近などで駐車場を探すことになります。
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