蛙田不動尊(南河内郡河南町) ・田んぼの真ん中に祀られた不動明王

蛙田不動尊

2020年9月訪問
蛙田不動尊(かりたふどうそん)は大阪府南河内郡河南町大字山城にある不動尊です。南河内で「お不動さん」といえば、富田林市にある滝谷不動尊(瀧谷不動明王寺)が有名ですが、こちらはその4kmほど北東の田園風景の中にある「お不動さん」です。



蛙田不動尊(南河内郡河南町)
蛙田不動尊(南河内郡河南町)

河南町の寺内町として知られる大ヶ塚の西側、比較的交通量の多い府道には所々に「蛙田不動尊」の看板があり、目にした人も多いと思われますが、意外とお参りしたことがある人は少ないのではないでしょうか。


歴史と概要

蛙田不動尊には由緒書きなどは見当たらず、正確な創建年や御由緒は不祥です。蛙田不動明王とも呼ばれるこの不動尊は河南町山城地区の田んぼの中、厳密には畦道の交差点にあり、その御利益は「はやり目、眼病が治る」と言い伝えられてきたそうです。大正時代に出版された「郷土史の研究」には、当時の南河内郡石川村大字山城字狩田に霊験あらたかな「不動様」がありましたが、神のお告げにより堂宇の建立はなされず露天にあったと記されています。この所在地の字「狩田」は「蛙田」と同じく「かりた」と読むようです。


一般的に不動明王とは仏教の信仰対象で、密教特有の尊格である明王の一尊です。日本では真言宗、天台宗、禅宗、日蓮宗等の仏教の諸派、さらに修験道でも信仰されている明王で、大日如来の化身とも言われているそうです。瀧谷不動明王寺のホームページによると、「お不動様のご誓願は、人間の悩みの原因である無明(まよい)を断ち切って、本当の幸せをおさずけになることにあり、私たちの真心が通ずるならば、どのような願いでも必ず一願は成就する」といわれているそうです。

眼病平癒や厄除けなど、様々な御利益があるとされ、縁日は毎月28日となっています。南河内では瀧谷不動明王寺が広く知られている他、観心寺には重要文化財「木造不動明王坐像(南北朝時代)」があります。


蛙田不動尊は、田んぼの畦道の角に御本尊?の自然石が祀られており、その上に簡易な屋根が設けられていましたが、令和2年(2020年)6月14日(日)、新たにお堂が建立されました。

蛙田不動尊のある河南町大字山城には、500mほど南東に降幡神社という氏神がありましたが、明治の末に大字一須賀にある壹須何神社(いちすかじんじゃ。壱須何神社、一須賀神社とも)に合祀されています(跡地に祠あり)。なお、壹須何神社は当不動尊から約300m東の丘の上に鎮座しています。

蛙田不動尊への道

蛙田不動尊の名を記した看板は「大ヶ塚」交差点周辺の府道沿いに白い旧タイプのものがいくつかありましたが、詳しい地図などが無かったため、初めての参拝者が辿り着くのは難しい状況でした。

まずは東(南)側から不動尊に向かう道を探してみます。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
バス停手前にある看板(2020年4月)

「大ヶ塚」交差点の少し西、府道33号富田林太子線にある「近つ飛鳥博物館・東山」方面行きのバス停付近に旧タイプの看板があります。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
バス停向かいの看板(2020年4月)

さらに、「大ヶ塚」交差点の少し北、府道27号柏原駒ヶ谷千早赤阪線にある「富田林駅前」方面行きバス停の向かいにも旧タイプ看板が設置されています。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
現在は無い矢印看板(2020年4月)

また、府道27号のさらに150mほど北、石川公園の手前西側には矢印型の旧タイプ看板がありましたが、現在は見当たりません。この矢印型看板は府道から西を指しており、不動尊名の下に小さく「この先 100m」と書かれていましが、実際には350mほどの道のりとなります。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
電柱のある交差点(東から)

実際に向かう場合は、上記の大ヶ塚バス停の「富田林駅前」方面行き乗場と石川公園の間にある押しボタン信号前から西側の坂を下ると良いでしょう(詳細は後述)。府道から西に進み山城地区の古い街並みの中を抜けると、交差点の電柱に茶色地に矢印の付いた蛙田不動尊の看板が見えて来ます。


東側、西側いずれのコースでもこちらの交差点から不動尊へ向かいます。交差点角の電柱に矢印付きの新しい案内看板が設けられましたので以前よりわかりやすくなりました。


一方、石川や千早川の流れる西側から向かうコースには茶色の新しい案内看板が設置されています。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
新タイプの看板

新タイプの看板で最も西にあると思われるのが、下東条橋の20mほど東側から喜志大橋の東詰めへとつながる道路沿いにある看板です。東側の押しボタン信号からよりはこちらからの方が近くてわかりやすいです。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
電柱のある交差点(西から)

先ほどの新タイプの看板から道なりに150mほど東に進むと、東側からのコースでも紹介した、新しい案内看板が取り付けられた電柱のある交差点に着きます。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
北へ続く畦道

東側から、西側からいずれのコースでも、案内表示付き電柱の立つ交差点から民家の間の道を北に進みます。しばらく歩くと両側が田んぼになります。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
南側からみた不動尊

交差点から約100m先にある畦道の交差点の角に、真新しい蛙田不動尊のお堂が見えて来ます。

令和のお堂

蛙田不動尊の真新しいお堂は、令和2年6月14日(日)に建立されました。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
田んぼに囲まれた「お不動さん」

東西と南北に延びる畦道が直角に交わった、条里制を思わせる田園風景の中に蛙田不動尊はあります。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
北東方向から

前述のように、従来は自然石とそれを覆う簡易な屋根が設けられた時期がありましたが、新しいお堂が出来たのでご本尊である自然石は(普段は)見えなくなりました。

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
北西を向くお堂

お堂は畦道の交差点の南東隅にあり、北西方向を向いています

蛙田不動尊(南河内郡河南町)
「蛙田不動明王」の石柱

お堂の前の石柱には「蛙田不動明王」と彫られています。また、お堂の周囲にはお参りに必要な様々な設備が取り揃えられています。


四方を田んぼに囲まれた中にある不動尊ということで、人通りもなく静かな環境でした。しかし、数か月前に建てられたお堂をはじめ、蛙田不動尊の周りは今も綺麗に整備されて樒(しきみ)も供えられていましたので、普段は地元の農家の方々を中心に今も信仰を集めていると思われます。

アクセス

府道27号と府道33号が交わる「大ヶ塚」交差点から約100m北の押しボタン信号の交差点を左(西)に曲がります。80mほど進んだ光明寺前を右折し、さらに60m少々先で左折します。そこからはほぼ直線で約150m進み、右に曲がると100mほど先の田んぼの中に蛙田不動尊があります。

富田林方面から府道33号で向かう場合は、スーパー万代河南町店やパティスリーハナハナさんの手前(西)にある下東条橋を越えて2つ目の角を左折し北に向かいます(河内自動車さんの筋)。250mほど進むと右手に「蛙田不動尊」の新しい看板があるのでその交差点を右折。道なりに約150m進み十字路を左に入ると約100m先に蛙田不動尊があります。

蛙田不動尊に駐車場はありません。

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