朝暉神社
2019年10月訪問
朝暉神社(あさひじんじゃ)は京都府福知山市字内記にある神社です。その鎮座地は、市の史跡に指定され、続日本100名城にも選ばれている福知山城の本丸、天守のすぐそばです。
朝暉神社(福知山市) |
福知山城は、令和2年(2020年)のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公である明智光秀ゆかりの城としても注目を集めていますが、この朝暉神社は明智氏が福知山を統治していた時代より後に創建されたようです。
●福知山城について詳しくはこちら →福知山城(福知山市) ・大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公、明智光秀ゆかりの城
歴史と概要
朝暉神社の由緒ははっきりしており、現地にも説明板があります。その始まりは、17世紀後半に福知山藩主朽木(くつき)氏の初代藩主となった朽木稙昌(たねまさ)が父の稙綱(たねつな)を藩祖として城内に祀ったことに遡ります。
慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いの後、東軍に与した有馬豊氏によって立藩された福知山藩は丹波国天田郡などを治めますが、その後領主は有馬家から幕府領、岡部家、稲葉家、幕府領、(深溝)松平家と変遷。寛文9年(1669年)6月に肥前島原藩(現長崎県島原市周辺)に移封となった藩主松平忠房に替わって、常陸土浦藩(現茨城県土浦市)から朽木稙昌が3万2000石で入り、以後幕末まで朽木氏の13代に渡る支配で藩政は安定しました。
ゆらのガーデンから見た福知山城 |
藩祖朽木稙綱は稙昌によって城中で祀られていましたが、文政7年(1824年)に11代藩主である綱条(つなえだ)が城南の丘(清水門の外の岡ノ段)を開いて一社を建立。藩祖の尊霊を奉遷し、朝暉神社と号しました。
明治時代に入り廃藩となると、朝暉神社は最後の13代藩主為綱(もりつな)により撤収され、当時の京都府天田郡堀村の自宅で祀られていたようですが、明治14年(1881年)に町民らの要望によって天守台跡に再建されました。その後、昭和61年(1986年)に天守が再建された際に天守東側の現在の位置に移されました。
朝暉神社の由来 |
朽木家の福知山入り350年に当たる、2019年(平成31年)4月21日に執り行われた春の例大祭の様子を伝える両丹日日新聞の記事などによると、朝暉神社は市街地鎮守の神としても慕われているそうです。
なお、福知山城本丸から800mほど北西には宇賀御霊大神と明智光秀公を御祭神とする御霊神社があります。
境内
前述のように、現在の朝暉神社鎮座地は福知山城本丸に建つ天守のすぐ東側となっています。なお、同じく天守東側にある豊磐井と呼ばれる大型の井戸の名は朽木稙綱の神号「豊磐稙綱彦命」にちなんだものだそうです。
鳥居と参道 |
天守入口前付近に鳥居があり、石畳の参道が北側の本殿に向かって続いています。境内としては南北約20m、東西約10m前後といったところでしょうか。
鉄砲石の説明板 |
石造りの鳥居の手前には「愛宕山常夜燈」と彫られた石灯籠があります(灯篭は鳥居の左右にあり)。灯篭側面には「文化十二乙亥年十二月吉日」とあることから文化12年(1815年)に奉納されたようです。愛宕信仰とは、京都市の愛宕山山頂に鎮座する愛宕神社から発祥した火伏せ、防火の信仰です。この常夜燈が元々ここにあったものかは不明です。
また、鳥居の手前左側には鉄砲石の説明板などもありますが、鉄砲石については福知山城の記事を参照してください。
鳥居も石造りの立派なものです。
鳥居 |
鳥居も石造りの立派なものです。
手水舎と朽木昌綱公頌徳碑(左) |
参道を進むと右手に手水舎があり、その左隣には福知山藩8代藩主で、蘭学者としても知られる昌綱を称える「朽木昌綱公頌徳碑」があります。昌綱はヨーロッパ地誌をはじめ世界地理の研究者で、貨幣の収集家でもありました。
本殿前の門 |
本殿の手前には石灯籠と朽木家の家紋である「隅立て四つ目」紋の入った門があります。この家紋は染め模様の鹿の子絞りの文様を図案化した「目結紋(めゆいもん)」の一種で、宇多源氏佐々木氏など近江源氏がよく使用していたようです。
朽木氏は近江源氏佐々木氏の分流である高島氏の有力庶家で、平安時代末期から鎌倉時代前期にかけての武将として知られる佐々木信綱の子孫である義綱が朽木氏を称したのに始まります。朽木氏は長らく近江国高島郡(現滋賀県高島市)の中でも、安曇川上流域(高島郡北部)である朽木谷を領していました。
本殿 |
本殿は立派な一間社流造で、周囲は玉垣で囲われています。
高台の上にある本丸ということで、壁の狭間などからは城下町や由良川、さらにその先の猪崎城跡(のある山)なども見えます。
アクセス
鉄道では、JR山陰本線・福知山線、京都丹後鉄道宮福線「福知山」駅下車。北口から「お城通り」(府道24号福知山停車場線)を東に約1kmです。バスの場合は、「福知山駅前北口」バス停から京都交通バスまたは西日本JRバスなどに乗車。「福知山城公園前」バス停下車、西に100m少々。
車の場合、舞鶴若狭自動車道福知山ICから国道9号を西に進み、土師川を越えてすぐ側道に降り、「東堀」交差点を右折。「お城通り」(府道55号舞鶴福知山線)を1kmほど進み「福知山城公園」の標識のある丁字路を左折すると、少し先の左側にゆらのガーデンと福知山城公園観光駐車場(無料)があります。
朝暉神社は福知山城本丸の天守のそばにありますので、少々坂を上ることになります。
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