狭山神社(大阪狭山市) ・狭山池の南に鎮座する池より歴史のある式内社

狭山神社

2017年1月訪問
狭山神社(さやまじんじゃ)は大阪府大阪狭山市半田にある神社です。その鎮座地は日本最古のダム式ため池である狭山池や安藤忠雄氏の建物で有名な大阪府立狭山池博物館の南、南海高野線「金剛」駅のすぐ西側で、周辺は木々の多い静かな環境といえます。「延喜式神名帳」に河内国丹比郡11座のうちの一つとしてその名が記載された、いわゆる式内社(大社)で、明治時代以降の旧社格制度では郷社に列格していました。

狭山神社(大阪狭山市)
狭山神社(大阪狭山市)

狭山神社では初詣や七五三はもとより、1月10日の戎祭では1石2斗(約216リットル)分の餅まきが行われ、10月の祭礼には地車(だんじり)が出るなど様々な年中行事があり、今も地元の人々の生活に密接に関わっている神社といえます。


歴史と概要

狭山神社の正確な創建年は不明ですが、第10代崇神天皇の勅願により創建されたとの伝承もあり、狭山池の築造以前から当地に鎮座していたとされています。また、平安時代に記された延喜式神名帳には、現在当社の摂社となっている狭山堤神社(さやまつつみじんじゃ)とともに大社に列格しています。

主祭神は天照皇大神と素盞嗚命で、中臣氏に関係する臣狭山命(おみさやまのみこと=狭山連の祖神)と天児屋根命(あめのこやねのみこと)を配祀しており、明治時代の末には神社合祀により大山祇神(おおやまつみのかみ)と稲田姫命などを合祀しました。

狭山神社(大阪狭山市)
参道の説明板

南北朝時代、このあたりは激戦地となり狭山神社もたびたび兵火にかかり社殿も焼失しましたが、室町時代には再建されたそうです。室町時代ごろから江戸時代には「牛頭天王社」とも称せられていました。


狭山神社は明治5年(1872年)には近代社格制度で郷社に列格し、明治40年(1907年)1月に神饌幣帛料供進社に指定されました。同年12月26日に当時の南河内郡狭山村大字池尻字新町の村社宇賀御魂神社(宇賀御魂神)、明治42年(1909年)7月16日に同村大字池尻字古城の村社狭間神社(素盞鳴命、稲田姫命、大山祇命)を本殿に合祀し、明治40年12月26日に同村大字半田字明神山の村社狭山堤根神社(印色入日子命)、同年12月27日に狭山村大字池尻字東池の八雲神社(素盞鳴命)を境内に合併移転しました(その後、狭間神社は池尻に複社しています)。

現在、狭山池内に鎮座する龍神社(りゅうじんじゃ。龍宮さん)は当狭山神社の兼務社となっています。


狭山堤神社と他の境内社

当社の境内には多くの摂社・末社がありますが、特にこの地に関わりが強いのが摂社である狭山堤神社です。

狭山神社(大阪狭山市)
狭山堤神社

第11代垂仁天皇の皇子で狭山池を造ったといわれる印色入日子命(五十瓊敷入彦命・いにしきいりひこのみこと)を祀る狭山堤神社は、かつて狭山池の東(狭山池遊園)の辺りにあり、狭山池の鎮守として延喜式神名帳では大社に列格していました。明治に入ると村社に列しましたが、明治40年に郷社狭山神社に合祀され現在地に遷座しました。


他の境内社として、戎神社は狭山池の北にある池尻の狭間神社の境内社でしたが、狭間神社が狭山神社に合祀された際に同じくこちらに遷座したそうで、狭間神社が復社した後も狭山神社の境内社として残っています。

●大阪府神社庁 狭山神社 →https://www.osaka-jinjacho.jp/funai_jinja/dai11shibu/osakasayama-city/11009sayamajinja.html


境内

狭山神社は南海高野線の金剛駅からは直線距離で200m程しか離れていない森の中に鎮座していますが、通常の入口は駅の方向(東側)にはなく神社の西側と南側にあります。

狭山神社(大阪狭山市)
府道を挟んだ西側にある鳥居と参道

狭山神社の社殿は旧半田村集落のある西を向いており、参道も拝殿から真っすぐ西に延びていますが、その入口は昭和になって建設された府道198号河内長野美原線を越えてさらに20mほど西にあり、今も石造りの鳥居が建っています。

狭山神社(大阪狭山市)
府道沿いにある注連柱と社号標

鳥居から東の境内に向かうと一旦府道に出ますが、その先には注連柱や社号標があります。

狭山神社(大阪狭山市)
手水舎

参道を進むと左手に手水舎があります。

狭山神社(大阪狭山市)
拝殿

さらに進むと広場に出ますが、ここで正面の石段の上に立派な拝殿が見えます。左手には社務所・授与所があり、右手に進むと境内南側の裏参道へつながっています。

狭山神社(大阪狭山市)
南側から見た拝殿

狭山神社の拝殿、本殿をはじめとして、境内社のお社も境内奥(東)の石垣の上に建っています。

狭山神社(大阪狭山市)
拝殿左手にある稲荷社

石段を上ると正面に拝殿がありますが、その左右には大小様々な摂社・末社が祀られています。

狭山神社(大阪狭山市)
南にある裏参道入口

境内の南側には裏参道がありますが、駅から徒歩で参拝する場合はこちらの方が近いです。

狭山神社の、木々に囲まれ静かで厳かな雰囲気の境内は大阪みどりの百選にも選ばれています。


アクセス

鉄道で行くには前述の南海高野線「金剛」駅で下車。西口から出るとロータリーの向こう(西)側に神社のある森が見えますが入口は森の反対側になるので迂回する必要があります。まず森のほうに向かって歩き、ロータリー出口の最初の信号を左に。100mほど進み遊歩道を抜け車道に出たら右折です。少し進むと右側に下り階段があるので降ります。すると右に神社の入口がありますがここで入らずに下を走る車道に出てドラッグストア前の信号を右折し少し歩くと右に神社正面の入口があります(道を渡った左側に鳥居があります)。

狭山神社(大阪狭山市)
金剛駅西口ロータリー(神社は右後方)


車の場合、大阪市内、堺、泉北、河内長野などから国道310号線と府道202号線とが交差する「亀の甲」交差点を経由し更に東の「浦之庄」交差点を目指し右折、富田林方面からは府道202号線を西へ進み南海高野線の高架を越え「浦之庄」交差点を左折し府道198号線に入ります。500m弱でシャトレーゼを過ぎると左に駐車場(無料)入口があります。


狭山神社(大阪狭山市)
駐車場(写真奥に出入口)

なお、狭山池の東には狭山池水天宮が、西には池之原神社がある他、1kmほど南東には伏山神社がある他、2kmほど西南西には大阪狭山市内では狭山神社と共にだんじり祭りが行なわれる三都神社(さんとじんじゃ)があります。

Sayama Shrine(Osakasayama City,Osaka Prefecture)

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