彼方丸山古墳(富田林市) ・石川を望む住宅街の中に残る中期古墳

彼方丸山古墳

2019年2月訪問
彼方丸山古墳(おちかたまるやまこふん)は大阪府富田林市楠風台にある古墳です。富田林南部の石川右岸の高台上に開かれ、整然と区画された住宅街の中に佇むこの古墳は現代の風景に溶け込んでいるようにも見えます。

彼方丸山古墳(富田林市)
彼方丸山古墳(富田林市)

「丸山古墳」という名称は各地の円墳によく付けられる名称で、当古墳の少し北東に板持丸山古墳がある他、南河内だけでも島泉丸山古墳(高鷲丸山古墳)、誉田丸山古墳、壺井丸山古墳などがあります。



概要

現地の説明板などによると、彼方丸山古墳は直径約35m、高さ約4.5mの円墳と考えられています。「丸山」と呼ぶにふさわしい形状を残しており、周囲には幅9mの浅い濠が巡らされていることが判明しています。

墳丘の表面に葺石はあまり残っていませんが、濠内には大量の河原石からなる丸石が堆積していたことから、かつては墳丘斜面にこれらの丸石が葺かれていたと考えられています。

また、濠の底からは朝顔形円筒埴輪や蓋(きぬがさ)形などの形象埴輪が出土しており、これらは築造時に墳丘の上部と裾部に並べられていたと考えられています。

彼方丸山古墳(富田林市)
説明板

古墳内部の構造や副葬品については明らかになっていないものの、頂上部分の封土の中に片岩質や安山岩質の割石片が混入しているので、竪穴式石室の可能性があるそうです。

これらのことから、彼方丸山古墳は5世紀前半に築造された地方豪族の墳墓と推定されています。この時代は古墳時代中期に当たり、堺市の仁徳天皇陵(大仙古墳)や羽曳野市の応神天皇陵(誉田御廟山古墳)もこの頃に造られたと考えられています。

彼方丸山古墳(富田林市)
古墳は上段の住宅の向こう側に

この辺りは、富田林市の中央を南から北に流れる石川が作った「石川谷」と呼ばれる地形になっていて、石川の両岸に広がる平地とさらにその外側の高台、いわゆる河岸段丘によって構成されています。そして、その段丘上の縁に沿うように多くの古墳が作られています。

特にこの彼方丸山古墳のある現在の楠風台から北は、石川谷の平地の幅が一気に広がる地形となっていて、当古墳は下流域を見渡す絶好の位置に造られたともいえます。ちなみに、古墳頂上の標高は89.1mで、その前面の低地は65.5mなのでその差は20m以上あります。

古墳の現状

彼方丸山古墳は富田林市の公式サイトの観光案内などにも情報がありますが、古墳内に立ち入ることはできません。

彼方丸山古墳(富田林市)
北東より

石川の東、国道309号の南の彼方地区にある高台の上に造成された楠風台住宅地。その一角に彼方丸山古墳はあります。

現在の住所でいう富田林市楠風台1丁目の道路を歩いていると、一軒家の住宅が立ち並ぶ中に忽然と墳丘が現れます。

彼方丸山古墳(富田林市)
北西より

フェンスの向こうに見える彼方丸山古墳は草で覆われ、数本の木も生えていて説明板が無ければ古墳とはわからないかもしれませんが、やはりそれなりの大きさを感じられます。

ちなみに、古墳の北側が道路に面していて説明板も設置されていますが、東西南側はほぼ住宅となっています。

彼方丸山古墳(富田林市)
墳頂部

この楠風台の住宅地は戦後の高度成長期に開かれた街のようで、それ以前の航空写真を見ると彼方丸山古墳の周りは田畑となっていました。

現在の地図で確認すると、古墳が保存されているエリアは正方形ではないものの、東西約50m、南北約30mの土地で、住宅にすれば7、8軒は建ちそうな広さを古墳の保全のために残されたことがわかります。

●富田林きらめきミュージアム 彼方丸山古墳 →http://www.tondabayashi-city.jp/museum/search/detail/?pkId=39

アクセス

富田林市の南部、国道309号沿いに出来た「クロスモール富田林」前のセブンイレブンが2軒向かい合っている交差点を、大阪・石川方面からは右折、河南町・奈良方面からは左折します。直線道路を500mほど進むと突き当りになるので左折。途中、左への分岐が2つありますが真っすぐ進み約170m先の交差点を右折。すぐに次の交差点があるのでさらに右折し、そのまま100mほど進むと左手に当古墳が見えてきます。

近鉄長野線「川西」駅、「滝谷不動」駅いずれの駅からも徒歩では1.7km前後ですが、川西駅から国道309号を東に進んで南下する方が迷いにくいかもしれません。

彼方丸山古墳(富田林市)
楠風台住宅の地図(右中段に古墳)

古墳は公園として整備されておらず、駐車場もありませんが、200mほど東の府営楠風台住宅にコインパーキングがあるようです。
住宅街の中の古墳なので周辺の住民の迷惑にならないように見学しましょう。

700m少々南東には佐備神社、800mほど南西には春日神社、800mほど南に滝谷不動尊、1.3kmほど北東には板持十三重塔や厳島神社があります。

Ochikatamaruyama-kofun Tumulus,Tondabayashi City,Osaka Prefecture

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