伏山神社
２０２１年４月訪問
伏山神社(ふしやまじんじゃ)は大阪府富田林市伏山にある神社です。南海高野線の線路や大阪狭山市を流れる西除川を眼下に望む丘の上に鎮座する伏山地区の鎮守社で、神社の隣には地区にとって重要な富田林市立伏山台幼稚園や市立伏山台小学校もあります。
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| 伏山神社(富田林市) |
羽曳野丘陵の西側に位置する伏山地区は富田林市の最西端にあります。その北東部には金剛ニュータウンや金剛東ニュータウンが広がっており昔の面影はありませんが、伏山地区には中高野街道など江戸時代からの名残も見られます。
歴史と概要
伏山神社には由緒記や説明板は無く、正確な創建年は不詳です。御祭神は素盞鳴命で、他に本殿北側に稲荷社らしき境内社がありますがこちらの御祭神は不明です。
伏山地区は富田林市の西の端、羽曳野丘陵の西側に位置し、地区内を南北に縦断する中高野街道(現府道１９８号河内長野美原線)沿いを中心に古い街並みを残していますが、その北から東にかけては昭和の高度経済成長期に開発が始まったニュータウンが広がっています。
富田林市の中心部は石川の流れる羽曳野丘陵東側にあります。一方、伏山地区のある丘陵西側には狭山池に注ぎ込む西除川が流れ、大部分が大阪狭山市となっています。地形的には大阪狭山市との結びつきが強そうなイメージですが、江戸時代までの旧令制国時代から伏山を含む富田林市南部は錦部郡(にしごりぐん)、大阪狭山市は丹南郡と別れていました。
伏山神社の鎮座地は、西除川方面から見ると中高野街道、南海高野線を越えた先の丘の中腹にある伏山台幼稚園・小学校のさらに上となっており、境内からは伏山地区だけでなく西側の大阪狭山市域も良く見えます。なお、富田林市内の羽曳野丘陵西側に残る神社は伏山神社と五軒家神社くらいです。
伏山神社と伏山地区の歴史を簡単に振り返ると、現在の伏山地区はもともと河内国錦部郡に属する地域でしたが、江戸時代に山地を開墾して新しく田が造られ、明治の初めまでは河内国錦部郡伏山新田と呼ばれていました。明暦３年(１６５７年)に近江国膳所藩３代藩主である本多兵部少輔康将の領地となりましたが、享保１７年(１７３２年)に徳川氏代官の支配となりました。
維新後の明治２２年(１８８９年)、錦部郡錦郡村(にしこりむら)、錦郡新田、伏山新田の区域をもって新たに錦織村が誕生し、伏山新田は錦織村の大字となります。明治２９年(１８９６年)には所属郡が南河内郡に変更となります。この当時の伏山神社鎮座地は南河内郡錦部村大字伏山字伏山となっています。そして明治４１年(１９０８年)２月８日に伏山神社は同郡川西村大字甲田字宮林(今の富田林市宮甲田町)の錦織神社本殿に合祀されました。伏山地区は明治４３年(１９１０年)に大字伏山新田の「新田」を外し単に大字伏山となりました。昭和１７年(１９４２年)、錦織村は富田林町、新堂村、喜志村、大伴村、川西村、彼方村と合併して改めて富田林町が発足。昭和２５年(１９５０年)に南河内郡富田林町が市制施行して富田林市となりました。
現在の伏山神社が再建(復社)されたのは第二次大戦後のニュータウンが開かれた前後と思われますが、正確な時期は不明です。
伏山神社は神職不在神社です。
祭礼
毎年１０月の秋祭りの時期には地車(だんじり)が出て、伏山神社の合祀先である錦織神社に宮入します。伏山地区内の伏山公園には伏山と同じく錦織神社に宮入する須賀、さらに大阪狭山市の東村(狭山神社に宮入)のだんじりが集合することもあるとか。また、南海高野線金剛駅周辺での金剛駅前パレードには富田林市西部の伏山、加太、五軒家(以上錦織神社の氏子地区)と大阪狭山市の前田、東村、川向、狭山(以上狭山神社の氏子地区)各地区のだんじりが集まるそうです。
境内
伏山神社は、旧伏山村集落から見て東の丘の上に鎮座しています。明治時代の地図を見ると、合祀前の旧社地に学校が出来たようなので復社後の現社地は少し遠くなったのかもしれません。
今回は伏山集落を通る中高野街道(府道１９８号)から東の神社に向かいます。安楽寺北側のこの参道はほぼ昔と同じとルートと思われます。
中高野街道から５０mほど歩き南海線の線路を跨ぐ橋を渡ります。
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| 参道分岐と社号標 |
線路からさらに１５０mほど進むと正面に伏山台小学校の高台が見えて来ますが、神社へは突き当りを右に曲がります。
右に曲がるとすぐに右の平坦な道路と左の上り坂に分かれていますが、「伏山神社」の社号標と伏山台幼稚園への看板が示す左の上り坂へ進みます。
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| 鳥居 |
左にカーブする参道を１００ｍ少々上ると、正面に石造りの鳥居が見えて来ます。ちなみに、鳥居の左側が幼稚園の正門で、鳥居右側が「伏山の森」と呼ばれる園児たちが「森あそび」をする森だそうです。
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| 入口側から見た境内 |
鳥居から５０mほど上ると参道は左に折れ、その先に社殿が見えます。
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| 本殿 |
境内は南南西から北北東へ細長くなっていて、奥行きが約５０m、東西の幅が最大１５ｍほどとなっています。社殿はほぼ西向きで、その裏手には金剛伏山台の新興住宅地が広がっていますが、そちらから直接参拝できるかは不明です。
立派な石灯篭と狛犬の奥には春日造りのような本殿が建っています。
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| 北西から見た本殿 |
本殿の周囲は透塀となっており、全体的にしっかりした造りの印象です。
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| 境内社と百度石 |
本殿に向かって左側の奥、境内の北端付近に南向きに鎮座する境内社があります。また、境内社の正面に百度石があります。
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| 境内社前の灯篭 |
境内社の社号や御祭神は不明ですが、中の様子から稲荷社のように思えました。こちらの前にある一対の石灯篭は古いようで、合祀前の旧社地から移されたものかもしれません。
アクセス
南海高野線「金剛」駅東口ロータリーから約２００ｍ東の「寺池台丁目」交差点を右折して南に進み、寺ヶ池の西側を通って突き当りを右折。伏山台小学校の西側から回って南側の鳥居に至るコースが最も簡単です。
あえて歴史ある中高野街道を通るルートは、「金剛」駅西口から南に１００ｍほど進み、左の踏切(金剛１号)を渡らずに右折。８０ｍほど西に進み信号のある交差点を左折すると中高野街道に入るので途中風輪寺の前を通過して南下します(途中から府道１９８号河内長野美原線となります)。信号のある交差点から約７００ｍ南下すると左手に安楽寺があるのでその手前を左折(下記写真)。跨線橋で南海線を越え２００ｍほど進むと正面に高台が見え丁字路となっているので右折すると社号標があります。道路は分岐していますが左の上り坂が参道なので１００ｍ少々上ると伏山神社の鳥居があります。
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| 安楽寺北の交差点(左が伏山神社参道) |
国道３１０号「茱萸木南」交差点からは東に進み、道なりに約８５０ｍ進んで信号のある交差点を右折し府道１９８号に入ります。そこから５００mほど先の安楽寺手前の交差点(上記写真)を左折。南海線を越えて２００ｍほど先の丁字路を右折し、左手の上り坂を１００ｍ少々上ると伏山神社となります。
伏山神社に参拝者用駐車場は無いようです。また、府道１９８号の富田林市内の区間は狭いところも多いので注意が必要です。
Fushiyama Shrine(Tondabayashi City,Osaka Prefecture)
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