高向神社
2019年9月訪問
高向神社(たこうじんじゃ)は、大阪府河内長野市高向にある神社です。のどかな風景の広がる石川西岸の高台の上にある集落の中に鎮座している神社で、多くの神々が祀られているほか、有形無形の様々な文化財も残されています。高向神社(河内長野市) |
高向神社の周辺には「道の駅 奥河内くろまろの郷」や「大阪府立 花の文化園」などの施設もあり、観光で訪れる人も多いエリアとなっています。
歴史と概要
高向神社の正式な創建年は不明ですが、境内の説明板などによると、当社の本殿は慶長13年(1608年)に建立されたことが棟札により判明しています。当社はもともと高向地区の氏神で、御祭神は素盞鳴尊、蛭子神、天児屋根命、保食神、白山姫命、菅原道真となっていましたが、明治41年(1908年)に南の日野地区にあった春日神社の武甕槌命、経津主命、比咩大神、さらに八坂神社の大巳貴命が合祀され、高向、日野両地区が氏地となりました。高向神社本殿の説明板 |
なお、御祭神について宝暦14年(1764年)の明細帳では天満大自在天神、八幡大菩薩、牛頭天王、稲荷大明神、天照皇大神宮となっていて「五社明神」と呼ばれていたとする資料もあるようです(河内長野市史)。
現在の河内長野市高向はかつて河内国錦部郡高向村と呼ばれていましたが、明治時代には南河内郡高向村となりました。当地は飛鳥時代の学者で、遣隋使の小野妹子に同行する留学生だった高向玄理(たかむこのくろまろ)の出身地といわれています。また、神社内にある塚は用明天皇の孫である高向王の陵墓とする説もあるようです。
文化財
本殿は江戸時代初期の遺構として貴重であることから河内長野市指定有形民俗文化財に指定されています。他にも文久3年(1863年)作の「高向神社祭礼図絵馬」や、鎌倉期に作られた女神と牛頭天王、室町期の男神の各木造坐像も同文化財に指定されています。一方、河内長野市の無形民俗文化財には江戸時代から続く日野地区の獅子舞「六斎念仏獅子」が指定されるなど豊富な文化財が残された神社といえます。
高向神社説明板 |
同じく河内長野市内で、高向神社から2.5kmほど北東にある西代神社にも市の無形民俗文化財に指定されている西代神楽があります。
祭礼
例大祭は毎年10月10日頃で、河内長野市無形民俗文化財の日野獅子舞やこども獅子舞が奉納されるほか、地車(だんじり)の宮入が行われます。ちなみに、当社の2kmほど北には馬駈神事で知られる小山田の住吉神社があります。
境内
高向神社の本殿はほぼ東の石川のほうに向いているので、正面は国道170号(外環状線)や府道218号河内長野かつらぎ線とは反対の方角になります。入口から本殿を望む |
東側にある入口には鳥居はありませんが社名標があり、その奥に本殿が見えます。
入口左側にある“島” |
入口の左側、社名標や手水舎の手前には石垣で築かれた島があり、小さな橋で渡れるようになっています。
入口の祠 |
島の奥には小さなお社(祠)があります。
手水舎 |
境内に入ると左側に手水舎や河内長野市指定有形民俗文化財である高向神社本殿の説明板があります。
手水鉢 |
手水鉢は比較的新しそうですが、独特な感じのものです。
祭事なども執り行われる広場 |
身を清めて振り返ると、右側に本殿や社務所といった建物がコの字状に配置されているのがわかります。広場の奥、正面に見えるのが社務所。
参集殿? |
右側の大きな建物は参集殿でしょうか。
朱色の両部鳥居 |
左側の本殿前には石造りの鳥居がありますが、手前の左側には朱色の両部鳥居があります。こちらの両部鳥居の向きは本殿とも入口とも向きが90度違います。かつて合祀された神社のものでしょうか。
本殿前の石灯籠 |
本殿の前には石灯籠がたくさん並んでいますが、中には「天満宮」や「天照皇大神宮」と彫られているようなものもありました。
本殿正面 |
市の文化財に指定されている高向神社の本殿は、三間社切妻造という珍しい形となっていて、梁間一間で中央に千鳥破風を上げ、屋根は檜皮葺となっています。三間社ということで柱間は三つでありながら内陣が五つに仕切られているのが特徴となっています。
珍しい造りの本殿 |
内陣には、前述の女神、牛頭天王、男神の各坐像(木造)が安置されており、これらも市の有形民俗文化財に指定されています。
本殿の側面 |
本殿向かって右側の社務所との間から奥の鎮守の森へと回れるようでした。こちらからは本殿の側面がよく見えます。
本殿隣の蔵? |
当社にはもう一つの市指定有形民俗文化財である、「高向神社祭礼図絵馬」が伝わっています。これは長方形の木枠に板材がはめられ、その表面に和紙を貼り彩色されたもので、中央に神社本殿、その周りに3台の地車、神輿、そして御練の人々が描かれていて下部には家屋敷が描かれています。
南側の広場 |
手水舎の前に戻り、本殿に向かって左手の方(西側)を見ると木々の間に少し広場のようになっている空間があります。こちらの奥のほうは駐車スペースにもなっているようです。
南側の灯籠 |
手水舎から駐車スペースの方(西側)を向くと、左手(南側)には本殿前とは別に石灯篭が並んでいます。
南側にある高向神社説明板 |
石灯籠の先には高向神社の説明板があります。
神社南西側 |
さらに西に進むと、右側に納札所らしきものとお堂が見えます。
南西端にあるお堂 |
このお堂と、参集殿らしき建物外側の花頭窓(火灯窓)が仏教的なものを感じさせましたが、高向神社の神宮寺などの有無は不明です。
アクセス
公共交通機関では、南海高野線、または近鉄長野線「河内長野」駅から南海バスで「上高向」バス停下車。バス停から南(信号と逆方向)へ少し進み左斜め前方の細い道に入り約180m先右側に神社があります。府道交差点にある高向神社の看板 |
車で行く場合は、国道170号(外環状線)「文化園口」交差点を東(道の駅・花の文化園)方面へ。約150m先の信号を右折し府道218号河内長野かつらぎ線に入ります。300mほど進み左折(ここから道が細くなります)し、100mほど進むと左手に神社があります。
南西側出入口 |
通常は神社の裏手に当たる南西側が駐車場として利用できるようです。
コメント
コメントを投稿