高屋神社
2019年11月訪問
高屋神社(たかやじんじゃ)は大阪府羽曳野市古市にある神社です。平安時代の「延喜式神名帳」という書物に河内国古市郡2座のうちの一つとして名前が記載された、いわゆる式内社(小社)で、旧社格制度では村社に列格していました。高屋神社 (羽曳野市) |
近鉄古市駅周辺には、ユネスコの世界文化遺産に登録された古市古墳群に属する古墳が点在していますが、高屋神社はそのうちの一つ、安閑天皇陵(高屋築山古墳)の南に広がる住宅地の中を南北に貫く東高野街道沿いに鎮座しています。
歴史と概要
社伝によると、高屋神社は宣化天皇3年(536年)に勅命によって創建されたとされています。御祭神は饒速日命(にぎはやひのみこと)と広国押武金日命(ひろくにおしたけかなひのみこと=第27代安閑天皇)を祀っています。鎮座地周辺は石川左岸(西岸)の高屋丘陵とも呼ばれる高台の上の住宅地で、古墳時代には物部氏の系統である「高屋連(たかやのむらじ)」の本貫地でした。高屋連は「新撰姓氏録」に「饒速日命の十世の孫、伊己止尼大連の後」と記される神別氏族であったことから、その一族が祖神として饒速日命を祀ったのが始まりと考えられています。
一方の広国押武金日命は後に祀られたものと考えられていますが、当社を創建した第28代宣化天皇の兄にあたり、その陵墓である「安閑天皇陵」は500mほど北にあります(安閑天皇皇后の春日山田皇女の陵とされる古市高屋陵(高屋八幡山古墳)もそばにあります)。
説明板と東高野街道の標識 |
室町時代から戦国時代にかけてこの辺りに高屋城が築かれ、三管領の畠山氏が本拠地としていましたが、その本丸は安閑天皇陵とされる高屋築山古墳を流用したもので、二の丸が古市高屋陵(高屋八幡山古墳)周辺、三の丸が当社のある現在の古市6丁目付近だったようです。今も古い街並みの残る三の丸付近の集落はかつて古屋敷と呼ばれており、城内を南北に貫く東高野街道に沿って形成されていました。
高屋城は天正3年(1575年)に織田信長の猛攻を受けて落城し、その後廃城となりました。高屋神社は江戸時代には八幡社とも呼ばれていたようですが、明治元年(1868年)に高屋神社に改称し、明治5年(1872年)に村社に列格しました。明治41年(1908年)5月11日に、現在の古市駅東側に鎮座する白鳥神社に合祀されましたが、第二次大戦後の昭和29年(1954年)に現社地に復社します。高屋神社が白鳥神社に合祀される前の旧社地については、南河内郡古市町大字古市字古屋敷となっていますが、正確な場所は資料により様々な説があるようです。
なお、白鳥神社では高屋神社復社後の現在も饒速日命と広国押武金日命が合祀神として祀られているそうです。
高屋神社は神職不在神社です。
境内
交通量の多い国道170号(旧道)から40mほど東、高屋神社前の東高野街道はかつて河内国を縦断する主要街道でしたが現在はとても静かで落ち着いた雰囲気となっています。街道沿いの玉垣 |
そんな東高野街道の西側に高屋神社は鎮座しています。
街道に面した入口 |
神社の境内は東西約10m、南北20mほどで街道からは2基の鳥居が見えていますが、街道に向いている左の白い鳥居は境内社のものなので、まずは「式内 高屋神社」の古い社号標の右側にある中央の入口から境内に入ります。
鳥居 |
境内に入るとすぐ右側に石造りの神明鳥居があり、その奥に狛犬と拝殿が見えます。鳥居や拝殿・本殿は南向きとなっています。
拝殿と狛犬 |
真新しい拝殿は平成28年(2016年)頃に再建されたようです。
拝殿内部 |
割拝殿の手前と奥には戸がありますが、格子の間から本殿が見えます。
本殿 |
拝殿の右手から裏に回ると、柵の隙間から本殿を見ることも出来ます。
拝殿左の境内社 |
一方、拝殿の左側には境内社があります。
賽銭泥棒やいたずら防止の貼紙 |
こちらの境内社には社名や御祭神を記した額や説明板が見当たりませんでした。
宮守稲荷神社 |
もう一つの境内社である宮守稲荷神社は境内の南端にあり東向きに鎮座しています。入口は前述の白い鳥居(「宮守稲荷大神」の額あり)なので、一旦街道に出てから改めて参拝します。御祭神は宇迦之御魂大神とのこと。
「高屋神社址」碑 |
宮守稲荷神社のお社の左側には「高屋神社址」の石碑がありますが、これは白鳥神社に合祀されていた当時、旧社地にあったものかと思われます。
石燈篭 |
その他、境内には古い石燈篭がありました。
北側の祠 |
また、街道沿いの北寄りにも祠がありますが、詳細は不明です。
アクセス
近鉄南大阪線・長野線「古市」駅のすぐ西にある国道170号(旧道)「白鳥」交差点から南に約800m進み「城山」交差点を越え約20m先(南)を左斜めに入ります。そこから約150m進むと右手に高屋神社があります。神社前の東高野街道 |
高屋神社には駐車場は無いようなので古市駅付近でコインパーキングを探し、周辺の古墳などと一緒に巡るのもよいかと思われます。
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