長野神社
2017年2月訪問(2021年10月更新)
長野神社(ながのじんじゃ)は大阪府河内長野市長野町にある神社です。鎮座地は南海電車と近鉄電車の河内長野駅にほど近い、賑やかな駅前ロータリーからショッピングモール・駐車場のビルを隔てて一本裏の通り沿いで、街中の参拝しやすい神社といえます。かつて、京や大坂から高野山へ至る道として栄えた高野街道沿いに鎮座する当社は、普段は静かで落ち着いた雰囲気の神社ですが、年に2回の祭礼では大変賑わいます。
歴史と概要
長野神社の創建年代は不詳ですが、この地は東高野街道と西高野街道、石川と天見川など陸上交通、水上交通の交流地点であることからかなり古くから栄えていたと考えられており当社も相当の歴史があると思われます。
当社は江戸時代中頃まで「木屋堂宮(こやどのみや)」や「牛頭天王宮(ごずてんのうのみや)」と呼ばれていました。「木屋堂」は正和2年(1313年)の後宇多院御幸記など14世紀頃の文書に見られますが、「こやど」とはもともと木材の集積地を意味する言葉で、近年「奥河内」と呼ばれる天見川や石川の上流などから集められた木材を堺、大坂、京などに出荷する拠点になっていたとも考えられます。
慶応4年・明治元年(1868年)に長野神社と改称し、明治5年に近代社格制度で村社に列格しました。
長野神社の御由緒 |
御祭神は神仏習合において牛頭天王と同一視された素盞嗚大神で本殿で祀られている他、恵比須社で事代主命、天神社で菅原道真公が祀られています。また、境内末社の一宮では熊野宮、多賀宮、八幡宮、春日宮、高良宮の五社を祀っており五社大明神とも呼ばれたそうです。この内、恵比須社は「長野戎」とも呼ばれ、1月の祭り「えべっさん」でも有名です(後述)。
鎮座地周辺は明治の初めまで河内国錦織郡長野村と呼ばれていましたが、明治22年(1889年)の町村制施行により、古野村、西代村、原村、野作村、上原村と合併し、改めて錦部郡長野村が発足しました。明治29年(1896年)に所属郡が南河内郡に変更。明治43年(1910年)には町制施行して南河内郡長野町となります。当時の鎮座地は南河内郡長野町大字長野字木宿となっています。昭和15年(1940年)に隣接する千代田村、天野村と合併し、新たに発足した長野町となり、昭和29年(1954年)には高向村、三日市村、加賀田村、天見村、川上村と合併して河内長野市が誕生しました。
現在の氏地は旧長野村と古野村の一部となっています。
河内長野市鳩原の川上神社は当社の兼務社となっています。
祭礼
長野神社では大きな祭礼が二つあることで知られています。
えべっさん時の高野街道(2020年1月) |
二つ目は10月中旬執り行われる「タイマツタテ」神事です。これは江戸時代の元禄14年(1701年)の記録が残っていている伝統行事で、高さ5m、胴回り4.5mの大松明を境内に立て火を点けるというものです。その昔、牛頭天王をこの地に勧請するため闇夜に火を灯したことに由来するようです。
境内
正門は西側の高野街道に面していて、駅から見て街道の坂を少し下ったところから石段を上る形になりますが、河内長野駅を出て線路沿いに南に進む近道から来ると車の出入口のある東側から入ることになります。本殿前の鳥居 |
境内に入ると、左手(北西)に本殿や境内社などの社殿が集まっていることがわかります。社殿は一段高いところに建っており、手前に鳥居があります。
重要文化財に指定されている本殿 |
天文12年(1543年)頃に建てられたと考えられる本殿は一間社流造りで、正面に千鳥破風と軒唐破風が付き、屋根は檜皮葺きで国指定の重要文化財となっています。
本殿前の梅 |
本殿や鳥居は南を向いています。
本殿左手の摂社 |
本殿の左右には摂社が並んでいます。
社殿が並ぶ奥に多数の巨木 |
境内には巨木が数本あり、隣接する吉年邸のクスノキと合わせて遠くから長野神社を探す目印にもなります。特に、本殿近くにある榧(カヤ)の木は高さ約17m、幹周りが約4mもあり大阪府下最大規模として、府指定の天然記念物になっています。
長野神社周辺の神社としては、河内長野市内の千代田神社、西代神社、住吉神社、烏帽子形八幡神社、笠松稲荷神社、富田林市の金刀比羅神社、腰神神社などが、寺院としては極楽寺、河合寺、観心寺、延命寺などがあります。
また、東の線路や石川を渡ると、かつて長野温泉の温泉街として栄えたエリアや、長野遊園の跡地に造られた「長野公園 奥河内さくら公園(長野地区)」があります。
アクセス
公共交通機関では、近鉄長野線、南海高野線の「河内長野」駅で下車。駅西側の階段からロータリーに下りるかノバティながの内を通ってロータリー出口の信号のある交差点(長野商店街入口があります)を目指します。そこを左折(南へ)するとすぐに大木が見え、手前に「高野街道」の石碑があるのでまっすぐ進み坂を下ると左に長野神社正門があります。
東側から見た巨木(2020年1月) |
車で大阪市内や堺、和泉方面から向かう場合は国道170号(外環状線)または310号で河内長野駅近くの「本町(七つ辻)」交差点を目指し国道170号(旧道)を「河内長野」駅方面へ。和歌山(橋本)方面からは国道371号で「本町(七つ辻)」交差点を右折し国道170号(旧道)に入ります。「本町(七つ辻)」から200mほど進み駅前ロータリー入口の交差点を右折すると正面に神社の大木が見えますがすぐに左折します(直進して高野街道(酒蔵通り)を進んでも道は狭い上駐車できません)。50mほど先の右側に神社入口がありますが、駐車できない場合は付近のコインパーキングを利用してください。
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