浄元寺山古墳
2021年2月訪問
浄元寺山古墳(じょうがんじやまこふん)は大阪府藤井寺市青山にある古墳です。藤井寺市と羽曳野市にまたがる古市古墳群に属する浄元寺山古墳は、国の史跡に指定されているだけでなく、令和元年(2019年)7月、ユネスコの世界文化遺産に登録された百舌鳥・古市古墳群の世界遺産リストにも登録されています。
浄元寺山古墳(藤井寺市) |
浄元寺山古墳は藤井寺市南端の青山地区に位置し、周囲は住宅地や墓地となっておりとても静かな環境となっています。また、東側に隣接する墓山古墳(応神天皇陵陪塚ほ号)は羽曳野市域であり、さらにその東側には羽曳野市役所もあります。
歴史と概要
現地の説明板などによると、浄元寺山古墳は方墳で、その規模は墳丘長約67m、高さ約9.7mとなっています。古市古墳群に属する方墳としては鍋塚古墳(藤井寺市沢田)、向墓山古墳(羽曳野市誉田)に次ぐ大きさで、全国的に見ても10位以内に入る大きさの方墳です。墳丘は二段に築かれており、周囲に濠をめぐらせています。
昭和60年(1985年)に周濠部の発掘調査が行われ、墳丘の斜面と外提内側の斜面に葺石を確認した他、周濠の下端幅が約7.5mであることが判明しました。なお、現在周濠は埋没保存されており見ることは出来ません。
説明板 |
築造時期は古墳時代の中期、5世紀中葉とみられており、すぐ東側に位置し5世前半に築造されたと考えられる墳丘長約225mの前方後円墳、墓山古墳と深い関係があると考えられています。
浄元寺山古墳と墓山古墳の関係を少し詳しく見ると、浄元寺山古墳は前方部を西側に向けた墓山古墳の西側にあり、墓山古墳の外側の堤に接して造られています。また、浄元寺山古墳の北面は墓山古墳の中心軸(長軸)の延長線上に重なる他、浄元寺山古墳の南北方向の主線軸は墓山古墳外堤にほぼ並行して造られていることから、浄元寺山古墳は墓山古墳の陪塚であるという説もあるようです。
ちなみに、浄元寺山古墳から200mほど北北西の旧河内国丹南郡野中村の集落に当たる場所(字中の町)に黒岡山浄元寺という浄土真宗本願寺派の寺院があります。大阪府全志によると、浄元寺の創立については不祥ですが、阿弥陀如来を本尊とし寺号は萬治(万治)2年(1659年)から称されているようです。
西墓山古墳
浄元寺山古墳の南側には現在、公園や住宅が立ち並んでいますが、こちらでは昭和63年(1988年)の住宅建て替え工事の事前調査により西墓山古墳が発見されました。
西墓山古墳は5世紀前半~中頃に造られたと考えられる一辺約20mの方墳で、墳丘斜面には葺石が施され、円筒埴輪列も確認されています。また、西墓山古墳の発掘調査では人体の埋葬施設が確認されなかったものの、墳丘中央から多量の鉄製品を納めた施設がほぼ完全な状態で出土しました。このことから、西墓山古墳は貴重な鉄製品を納めた副葬品専用の埋葬施設だったとも考えられています。
西墓山古墳は江戸時代には既に畑となっており、前述の調査後に消滅し現在は見ることができませんが、鉄製品埋納施設の一部が保存加工されてアイセルシュラホール(藤井寺市生涯学習センター)の歴史展示室に展示されています。
古墳の現状
浄元寺山古墳は南河内でも交通量の多い国道170号(外環状線)から300mほど東の住宅街の中にあります。現存する古墳では墓山古墳から50mほど西、青山古墳から100m少々北東にあります。
北西角 |
北側の旧野中集落方面から南側の旧軽墓集落への旧道を南下すると、左側に浄元寺山古墳が見えて来ます。明治以前からあるこの道は当古墳に差し掛かると少し右寄り(西寄り)に角度を変えますが、当方墳はこの部分から外側、つまり北西角が削られた形になっています。
南西から見た南面 |
現在、浄元寺山古墳の西側と南側にはフェンスが設けられ、東側と北側は私有地や建物があり中には入れないようです。
南東から見た南面 |
墳丘は手入れされた短い芝生の様になっており、所々に木が生えていて葺石などは見えませんでした。
古墳南東にある墓石?等 |
浄元寺山古墳南東側のフェンスの内側には数基の墓石のようなものがあり、中には「浄元寺」と刻まれたものも見えます。なお、浄元寺山古墳と墓山古墳の間の南寄りには野中共同墓地があります。
浄元寺山古墳の周辺1km圏内には墓山古墳の他に、仁賢天皇陵、野中宮山古墳、はざみ山古墳、白鳥陵古墳、清寧天皇陵、そして応神天皇陵といった大きな前方後円墳が多数あります。また、周辺には北に野中の野中神社(旧丹南郡野中村)、南には軽羽迦神社(旧古市郡軽墓村)といった神社がある他、300mほど南には石器時代の遺跡である翠鳥園遺跡につて学べる「翠鳥園遺跡公園 石器人のアトリエ」もあります。
アクセス
国道170号(外環状線)の高架下にある「野中5丁目」交差点から東に進み(途中浄元寺と浄宗寺前を通過し)約200m先の交差点を右折。さらに南に150mほど進むと浄元寺山古墳の北西角が見えて来ます。案内板は古墳南側の道路を挟んだ向かいにある青山1丁目児童遊園に設置されています。
公共交通機関を利用する場合は、近鉄南大阪線「藤井寺」駅、あるいは南大阪線・長野線「古市」駅から近鉄バスに乗車し「野中」バス停で下車。50mほど南の信号のある交差点を左折し、150mほど歩き、さらに右折して約150m進むと浄元寺山古墳の北西側となります。
浄元寺山古墳に専用駐車場は無いので、各駅周辺のコインパーキングか、前述のバス停から300mほど南にある青山古墳前などのコインパーキングを利用し、他の古墳と一緒に巡ると良いかと思われます。
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